本項では、常武電鉄の各種定型放送を解説する。
常武電鉄は開業時から発車ベルや接近メロディーなどを導入しておらず、自動放送と肉声放送、笛(現在は電子笛)のみを用いている。
実際の放送音声を扱うと権利関連の調査に時間がかかるので、一旦文章のみで説明する。

共通事項

放送する駅名が「電鉄○○」の場合、冒頭の「電鉄」は省略する(例: 電鉄池袋→池袋)。

状況ごとの放送

自動放送

常武では、2023年11月現在、駅構内のみ自動放送を採用している。
他社で一般的な車両側の自動放送は導入されていない。

接近放送

「お待たせいたしました」の後、種別(2回)、行先(2回)、両数(1回)を案内する。
種別が普通の場合は「普通車」と放送する。
電鉄三郷や八潮など、ちばらき線とつくば線の列車が同時に入線する場合は、2回目の「お待たせいたしました」が省略される。
ちばらき線上り(東行)10両編成の後ろ2両が締切の時は、8両編成として案内した上で最後に、「後ろ寄りの9号車、10号車は回送のため、他の車両をご利用ください」と放送する。

――電鉄柏駅上り3番線 特急京王八王子行きの場合

お待たせいたしました。
3番線に 特急 京王八王子行き 特急 京王八王子行きが 10両編成でまいります。

――電鉄西新井駅下り1番線 急行電鉄龍ケ崎行きの場合

お待たせいたしました。
1番線に 急行 龍ケ崎行き 急行 龍ケ崎行きが 8両編成でまいります。

――八潮駅下り0番線 普通つくば行きの場合

お待たせいたしました。
0番線に 普通車 つくば行き 普通車 つくば行きが 6両編成でまいります。

――電鉄三郷駅上り3番線 特急電鉄秋葉原行き+上り2番線 特急高尾山口行きの場合

お待たせいたしました。
3番線に 特急 秋葉原行き 特急 秋葉原行きが 6両編成でまいります。
2番線に 特急 高尾山口行き 特急 高尾山口行きが 10両編成でまいります。

到着時放送(主要駅のみ)

「ありがとうございました」の後、駅名を2回放送する。
他路線への乗換駅では、その旨も放送する。
最後に、到着電車の種別と行先を1回放送する。

――電鉄西巣鴨駅下り1番線 特急電鉄龍ケ崎行きの場合

ありがとうございました。西巣鴨、西巣鴨です。
都営三田線はお乗り換えです。
1番線の電車は、特急 龍ケ崎行きです。

発車時放送(主要駅のみ)

発車番線と種別、行先を1回放送した後、「駆け込み乗車はおやめください」を2回放送する。
始発駅と待避直後のみ、冒頭に「お待たせいたしました」と放送する。

――六町駅上り4番線 普通電鉄秋葉原行きの場合(待避後)

お待たせいたしました。
4番線から 普通車 秋葉原行きが 発車いたします。
駆け込み乗車はおやめください。
駆け込み乗車はおやめください。

肉声放送

車内の案内放送は、全て肉声放送である。
ラッシュ時間帯を中心に、駅でも肉声放送を聞くことが可能である。
本項では、車内放送のみ取り上げる。

停車中・発車直後

始発駅のみ、
 「ご案内いたします。この電車は、~」(停車中)
 「皆様、今日も常武電鉄ちばらき線 / つくば線をご利用くださいましてありがとうございます。この電車は、ちばらき線 / つくば線~」(発車直後)
の後に種別(2回)、行先(2回)を案内する。

  • ちばらき線の急行のみ、上りは「柏まで各駅停車の」、下りは「柏から各駅停車の」と1回前置きする(急行の停車駅が複数回変更になっているため)。
  • またつくば線の急行のみ、行先案内の後に追加で「この電車は、田中を通過いたします」と放送する(2023年から田中が通過となったため)1

続いて終点までの停車駅を1回放送し、新宿で種別が変わる場合はその旨も案内する。
最後に両数を案内する。
ちばらき線上り(東行)10両編成の後ろ2両が締切の時は、8両編成として案内した上で最後に、「後ろ寄りの9号車、10号車は回送のため、他の車両をご利用ください」と放送する。

始発駅以外の発車直後は、次駅案内(2回)と乗換案内(1回)のみ行う。
但し、待避した場合も始発駅に準じた放送が行われる。

――電鉄布佐発 特急京王八王子行き(新宿から特急京王ライナー 新宿まで後ろ寄り2両締切) 始発駅停車中の場合

ご案内いたします。
この電車は、ちばらき線特急 京王八王子行き 特急 京王八王子行きです。
停車駅は、柏、三郷、王子、西巣鴨、池袋、高田馬場、新宿、明大前、調布、府中、分倍河原、聖蹟桜ヶ丘、高幡不動、北野です。

新宿から、特急京王ライナーに変わります。
後ろ寄りの9号車、10号車は回送のため、他の車両をご利用ください。
発車まで約3分、お待ちください。

――電鉄龍ケ崎発 急行橋本行き(新宿から各駅停車) 始発駅発車直後の場合

皆様、今日も常武電鉄ちばらき線をご利用くださいましてありがとうございます。
この電車は、柏まで各駅停車の急行 橋本行き 急行 橋本行きです。
停車駅は、柏までの各駅、平和台、三郷、八潮、西新井、王子から新宿までの各駅と、笹塚からの各駅です
2
新宿から、各駅停車に変わります。
次は長沖、長沖です。

――各駅停車電鉄柏行き 三郷市駅発車直後の場合

次は三郷、三郷です。
つくば線 守谷、つくば方面と、JR武蔵野線をご利用のお客様はお乗り換えです。

到着直前

終着駅以外では、次駅案内(2回)、出口案内(1回)、次々駅案内(1回)、乗換案内(1回)を行う。
待避する場合は、その旨も案内する。
終着駅では上記に加え、乗車の御礼+αの放送をする。

――各駅停車 電鉄柏行き 八潮到着直前の場合(待避あり)

間もなく八潮、八潮です。
出口は両側です。
八潮の次は、共和橋に停まります。
当駅でちばらき線急行龍ケ崎行きと、つくば線普通車守谷行きに連絡いたします。
三郷、平和台、柏からの各駅へおいでのお客様は、右側の扉から急行龍ケ崎行きに、
つくば線守谷、つくば方面へおいでのお客様は、左側の扉から普通車守谷行きにお乗り換えください。
それ以外のお客様は、15時13分の発車まで、3分ほどお待ちください。

――普通車電鉄守谷行き 電鉄守谷到着直前の場合

間もなく守谷、守谷 終点です。
出口は左側です。
つくば方面と、関東鉄道常総線をご利用のお客様はお乗り換えです。
つくば線のつくばへお急ぎのお客様は、10時5分発の特急つくば行きを、
それ以外の各駅へおいでのお客様は、10時15分発の普通車つくば行きをご利用ください。
今日も常武電鉄つくば線をご利用くださいまして、ありがとうございました。
お降りの際、お手回り品をいま一度ご確認願います。

総括

常武電鉄の放送は、下記4点からかなり個性的であるといえる。

  1. 車内の肉声放送が全く無い点
  2. 種別ごとに放送の拘りが強い点(「普通車」「柏まで各駅停車の急行」など)
  3. 種別、行先を2回言う場面が多い点
  4. 乗換案内よりも次駅放送を先に行う点

単体では他の私鉄と同様の場合があっても、総合的には他社と大きく異なっているといえる。
時代の流れから、今後車内でも自動放送が一気に普及する可能性があり、記録等は日々行っていきたいところである。

  1. つくば線の快速急行も停車駅が複数回変更になっているものの、こちらは何故か言及が無い。 ↩︎
  2. 京王線の初台と幡ヶ谷を通過するため、「王子からの各駅」とは放送しない。 ↩︎